NEM Japan インタビュー シリーズ #4:ボー太郎 / SNSアプリIchiGo、Symbolテストネットウォレット導入
NEM Japan インタビュー シリーズ #4:ボー太郎 / SNSアプリIchiGo、Symbolテストネットウォレット導入
NEM Japan インタビューシリーズ第4回目は、NEM エンジニアとして今までにNEM基金プラットフォームや複数のアプリをNEM上で開発されてこられました中島理男氏(通称:ボー太郎氏)にインタビューさせて頂きました。
ボー太郎氏は今までにIchiGO, SNEMOPS、NEM-GATE-PASS、NEM-TIME-CARD、Msaicセンターなど複数のアプリをNIS1上で開発されてきました。それらのアプリは12月17日にローンチ予定のSymbolに移行される予定とのことです。
その中で、IchiGoは10月11日よりSymbolテストネットウォレットを導入しリリースされたので、今回はIchiGoアプリについて詳しくお聞きする事に致しました。
Ichi Go サイトはこちら : https://ichigo-word.fun
NEM Japan:ボー太郎さんの自己紹介をお願いします。
ボー太郎:平日は(有)コンフォートという会社で『配達のおじさん』をやっております普通のおじさん?です。週末や空いた時間などで野良プログラマーとしてアプリやWEBソフト開発をしています。
プログラミングは20年ぐらいやってますね。流行りものが好きで機械学習と画像認識とかブロックチェーンもいじってます。最近は自由気ままに色んなツールとか作ってます。
NEM Japan:ありがとうございます。ボー太郎さんはNEMに関わり始めたのはいつ頃かとその切掛も教えて頂けますでしょうか。
ボー太郎:切掛けはですね、コインチェック事件があってからです。それまでイーサリアムを使ったりしてたんですけど、NEMはロールバックしなかったんですよね。
正直ブロックチェーンってロールバックしたら終わりと思っていまして、都合の悪いことも含めて改竄しないNEMの強さには驚かされました。
そして実際に使ってみるとイーサリアムなどのスマートコントラクトブロックチェーンとはまったく違った概念で設計されていて『うわぁ!すごい!』ってなりました。
NEM Japan:ボー太郎さんが感じた『うわぁ!すごい!』について具体的に教えていただけますか?
ボー太郎:通常ブロックチェーンを使うには明確に要件定義をして、必要なコントラクトを実装してちゃんと動作するか検証を行って初めてインターフェイスの開発に取り掛かるので事前準備に時間をかなり有します。
NEMの場合はもうそこ(コントラクト)は出来てるからあとは好きに使ってくれと言う設計で、必要な機能は入れたからあとは今まで通り「既存のWEBシステム」を使えば良い。どう?簡単でしょ?URLリクエストだけでブロックチェーンデータが取れる?
少し具体的にお話しますと、タイムカードのシステムを開発している時に、会社名、社員名、部署、時間などのデータを直接NEMのメッセージに書き込んでいたのですが、そうするとやはり読み込み時間やデータ量でやりたい事が制限されてしまって思ったものが出来なかったんですよね。
そこでメッセージにjsonオブジェクトを書き込むようにしました!中身はSQLデータのキーです。そうするとNEMメッセージに大量のデータを書き込めるようになりました。端的に言うとNEMとリレーションする訳ですね。
これが「既存のWEBシステム」とのハイブリッドでこの使い方に気づいたときにうわぁー!っすごい!って驚きました!エンジニアからするとプレイステーションぐらい簡単に保存、取出しができるようなイメージですね(笑)
NEM Japan:なるほど、そうなんですね。
では、NEMを使って開発されたIchiGoのSNSアプリについて詳しく教えて頂けますでしょうか?IchiGoのサービスを立ち上げようと思った切掛はなんでしょうか。
ボー太郎:IchiGoは短い文章『一語一句』を共有するSNSです。今回SymbolのTESTNET用ウォレットを実装して投げ銭機能を導入しました。開発の切掛は、NEMや仮想通貨にまったく興味ない人々にもすこし関心を持ってもらおうと思って開発を始めました。
最初に考えた事は多くの人が楽しんでいるなんらかの趣味に投げ銭をくっつける事でした、たとえば将棋や俳句、スポーツ、音楽、など。そこで私は歌が好きだったのでJPOPの『歌詞』の一部分を共有するSNSを開発していたのですが、それに投げ銭をすると引用の範囲を超えて著作権侵害に抵触する恐れがあったので取りやめになったコンテンツがあって、それがIchiGOの原型です。
なのでIchiGoのプログラムの内部には投稿時に『引用』か『オリジナル』の選択する項目が残っています(笑)『引用』を選択した場合は著作者を入力しないとダメみたいな感じにしていました。
皆様にすこしでも楽しんでいただける様にアプリのカラーカスタマイズ機能、投稿カレンダー機能、コメント欄やDM、いいねなど多くの機能を実装しています。
NEM Japan:どのようにユーザーは利用する事が望ましいですか?
ボー太郎:IchGoは投稿文字数60文字とかなり短く制限しています。これは『一語一句』の『言葉の力』を引き出すためにそうしています。ものすごい共感できるワンフレーズを投稿するとそれに価値が返ってきます。人の心を動かせるようなIchGoを沢山集荷して楽しんでほしいです。
NEM Japan:今後アップグレードなどお考えでしたら詳しく教えて頂けますか。
ボー太郎:まずSymbolMAIN NET への対応はもちろんSymbolを使ったアポスティーユカメラやNEM-GATE-PASSなどのモバイルで必要なブロックチェーンアプリを、IchiGoに内蔵して行きたいと考えています。
また位置情報やARなどの仕掛けも考えています。GPSとmosaicを利用した特定のエリアでのみ有効なトークンの利用など。IchiGoはなんか色々できるアプリだなぁと思っていただけるように頑張ります。
NEM Japan:今回IchiGoをNIS1からSymbolテストネットに移行された作業はどのぐらいのお時間かかりましたでしょうか。移行作業について詳しく教えてください。
ボー太郎:元々IchiGoにはnemlogのウィジェットを利用させて頂く形で投げ銭に対応していました、なので移行作業はゼロベースでの作業になりました。ゼロベースから2週間ほどで実装できました。
これ言ってもなかなか信じてもらえないと思うのですがブロックチェーンの部分は半日です(笑) まず調べますよね?それでSymbol-SDKを入れます。公式サイトにあるサンプルコードをコピペしてすこしいじってIchiGo用のアカウント作成、秘密鍵インポート、送信用メソッドを作りました。
実際にその日(10月1日)に私自身のツイッターで半日で実装いや実際数時間で・・・とツイッターに投稿していますw作業時間の8割程はウォレットのデザインに割いています。最先端のブロックチェーンでありながら、わずか数時間で導入できるのはNEMの驚くべきところではないでしょうか?
NEM Japan:移行作業で簡単だった事や難しかった事を教えてください。
ボー太郎:ウォレットを導入するにあたってサイト全体のセキュリティに関するアップデートを行ったのでそれに一番時間がかかりました。移行(実装)作業自体には問題がなかったのですが、いざデプロイ(サーバーに上げる)したらSymbolのNODEがHTTPだったのでHTTPSのIchiGoでは動作しなくてちょっとあせりましたw
ツイッターでHTTPSのNODEを教えてもらって無事アップデートすることができました。移行作業で分からないことがあってもNEMはコミュニティーがすごく充実しているのでツイートすればNEMberが助けてれます。こういった部分も開発のモチベーションアップになりました。
NEM Japan:これからNEMを使ってアプリ開発を考えている方へのアドバイスをお願いします。
ボー太郎:今回のIchiGoもそうですが、ブロックチェーンウォレットでありながら開発の多くの時間をブロックチェーン以外に使っています。ブロックチェーンを利用する手段としてNEMは最小のコストで導入することができます。
ブロックチェーンはエンジニアにとって手段であって目的ではないので、NEMを利用すれば数時間のうちにブロックチェーンを導入出来て残りの開発時間をUIや新し機能の追加に回せるのでほんとにおすすめです。NEMでの開発は消耗しないのでとりあえず気軽に一度使ってみるのがいいと思います!
NEM Japan:12月17日にSymbolのローンチが予定されております、今のお気持ちをお聞かせください。
ボー太郎:遅れてSymbolテスト(0.9.x)に参加したので性能のすごさに驚かされました。C++での実装で相当トランザクションが早くなっているようでわくわくしております。
NEM Japan:最後になりますが、Symbolがローンチした後、ボー太郎さんが1番期待されている事を教えてください。
ボー太郎:やはりSymbolを利用したサービスやNEMエンジニアさんが増えていって欲しいですね。まず多くに人にNEMを知って頂くことが大事かと思います。
NEM Japan:詳しいお話どうも有難うございます。ボー太郎さんの今後のご活躍とIchiGoの発展、その他サービスにも期待しております。
ボー太郎:ありがとうございます。これからもNEMを使ってみんなが楽しめるようなコンテンツを作って行きたいと思います。
NEM Japanインタビューシリーズ第4回目に、多くのアプリを開発されて来られた経験豊富なボー太郎氏に、これからブロックチェーンを使って開発を検討しているエンジニアや企業の経営者様へ、貴重なアドバイスを頂けたと思います。是非この機会にNEMで開発を始めて見てください。
それでは第5回も乞うご期ください。
Twitter : https://twitter.com/EUFjZEyIuzS9rIi